野菜が高くなるのは何が原因?

2020.09.08

野菜が高くなるのは何が原因?

 

 

野菜が高くなる理由は「需要と共有のバランスの崩れ」

最近は野菜が高くなるのはよく聞くことで
特別珍しいことではなくなりました。

しかし、メニューの単価が決まっている
飲食店の経営者やシェフからすると
メニューの想定原価が高くなるのは頭の痛い問題です。

高くなる代表格の野菜というと
レタスやサニーレタス、パクチーや水菜などの葉物野菜が
多いように見受けられます。

もちろん、今の時期だとキャベツや白菜が高いこともあり
全品目の野菜が高くなることはあり得るのです。

では本題の野菜が高くなる理由は
「需要と供給のバランスが崩れているからです」

 

野菜相場は需給のバランスで変動します。
株式市場や先物取引と同じ「相場の原理」が働いています。

野菜が高くなる直接の原因は絶対数が足りていないからです。

ここで、疑問となるのは
①高くても野菜を欲しがるとはどんな業者だろうか?
②そもそも数が過不足になる原因はなぜだ?
③どうしたら野菜が安く買えるのか?

といったところでしょうか。

青果市場での価格変動のメカニズム

市場の中での価格を決めているのは「競り人」という荷受け会社(大卸)の担当者が産地から品物を集める際に決まると言っても過言ではありません。

産地側は少しでも高く売りたいので出荷の上限値をコントロールして青果市場内で品物が余らないように調整して複数の市場のどこに配分するのが最も高く売れるかを考えているのです。

そして青果市場内では
欲しいと手をあげている人の分が行き渡らなくなった段階で
どうしても欲しいという人たちが「もっと高く買うから欲しい」と
高値をつけて野菜の価格を高くしてしまうのです。

平成の前半の時代までは競り(競売)にて価格が決まっていたのですが
現代では産地の出荷数量で重要の逼迫が予想でき
前日の段階で「明日から高くなるよ」といったコミュニケーションがおきます。

現代では競りの他に相対取引が主流となっております。
競りで買おうと思うと平気で2時間くらいの時間を要するので私どもも相対取引や仲卸を通じた仕入れに力を入れています。

仲卸を使って仕入れるのは中間マージンが増えると思う方もいるかもしれませんんが、仲卸は協力者ですのでどん信頼関係を作り上げるかが大事です。

特に激モガキの品薄時には普段大量に仕入れている仲卸にしか商品割当がないケースもあるので保険をかける意味でも強い仲卸との連携は力です。

野菜を高く買う業者とはどんな業者なのか?

野菜の流通の40%以上を占めているのが加工、業務用青果

スーパーですと高いから売れないので受注数は減る代わりに安めのものを余計に仕入れて値頃感を出す傾向にあるのですが…※

業務用業者は絶対に必要数量を確保する「納品義務」があるため、高値を付けてでも商品の奪い合い合戦に参戦します。

特に「コンビニの加工工場」や「大手チェーン店」の販売ウエイトが高い業務用業者であれば本気度合いは違いますね。

ハンバーガーのトマトやレタス、サンドイッチに入るグリーンリーフなどがそれに該当します。

 

一般的にはたくさんの量を販売している業者が最安値で調達できるのですが、野菜の業界は少し違いますね。

納品義務に追われて冷静さを失った大きな会社さんはレタスに1万円をつけることもあります。

面白いのは「サニーレタス」と「グリーンリーフ」
どちらも同じような被結球のレタスですがグリーンリーフはコンビニサンドイッチの具材になるケースが多く、レタスが品薄時になるとグリーンリーフが異常高値になることもあります。

普通の状態だと彩の良いサニーレタスの方が人気があり価格も高いのですが「モガキ」と呼ばれる品薄モードになると価格が逆転するのです。

これらの価格が反転すると最低2週間は野菜相場が全体高値を迎えるというシグナルになります。参考までに

※スーパーの特売が入っている時は例外です。イオンやヨーカドー系の大手スーパーの特売は相場を乱す一因にもなるので注意です!

野菜の入荷が過不足になる原因はなぜ?

需給バランスとは入荷量と出荷希望数のバランスです。
野菜が高くなるケースの80%以上は天候不純による野菜の入荷料不足が挙げられます。

野菜の生育には

  • – 日照時間
  • – 最適気温
  • – 適度な雨

が絶対的に欠かせないのですが、乱れることはしばしば。

今年でいうと、長雨が続いて日照不足…
3つの条件のうち2つが満たせていませんでした。

野菜が高くなる時期は真夏と真冬です。
特に高くなるのは真夏です。

夏場は日照時間はあっても、気温が異常に熱くなって、雨が大量に降るなんてこともありますよね。

冬場であれば、気温の過不足はハウス内を加温して凌ぐという選択肢もあるので何とかなるケースもありますが、暑すぎるのはダメです。

もちろん、冬場で加温すれば燃料代の経費が発生するので野菜が高くなる要因ともなり得ます。

夏場の方が厳しい理由の一つとしては、産地が限られていることが挙げられます。

暑さを避けた地域で夏の農業は行われているので標高の高い場所か緯度の高い場所でしか生育適応環境は存在しないのです!

加工・業務用野菜についてのレポート

令和元年に農林水産省が調査した加工・業務用野菜の流通におけるレポートがあります。

(参考https://www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/yasai_kazitu/attach/pdf/kakouyasai-all-R1.12.pdf)

非常に興味深い事項があったので少しだけまとめました。

下記の指定野菜14品目だけで日本のコメを除く農業生産高のうち78%を占めているようです。

  1. ①キャベツ
  2. ②きゅうり
  3. ③さといも
  4. ④だいこん
  5. ⑤たまねぎ
  6. ⑥トマト
  7. ⑦なす
  8. ⑧にんじん
  9. ⑨ねぎ
  10. ⑩はくさい
  11. ⑪ばれいしょ
  12. ⑫ピーマン
  13. ⑬ほうれんそう
  14. ⑭レタス

なんとその数量は928万tにもなるのです。
(個人的には里芋は入れ替えても良いんじゃないかと思います)