鹿児島 産地レポート

2023.10.08

産地視察

野菜情報

鹿児島 産地レポート

毎度有難うございます。
久しぶりの産地レポートをお届けします。

今回訪問したのは、鹿児島。
これまでに数度訪れていますが、
雄大な桜島に毎回ウットリしてしまいます。

 

当社のバイヤーが鹿児島のJA出身ということもあり
たくさんの生産者さんと関わらせていただいております。

今回、産地をみて改めて勉強になることがありましたので
簡単にまとめてみました。

 

 

鹿児島産野菜の出荷時期

鹿児島というと冬も比較的温暖な気候のため冬の大産地です。
メインの時期は11月から4月頃となります。

夏の時期になると気温が高すぎることもあり
野菜の栽培環境としては適しておらず
オクラなどの一部の夏野菜が出荷されております。

野菜の産地は四季ごとに移り変わります。
東京の場合ですと( 品目によっても異なりますが )

(春)関東近郊
(夏)東北、北海道
(秋)関東近郊
(冬)九州、西日本

野菜は20度以下を生育適温とする品目が多いので、
このような形でリレーをして供給体制が構築されています。

 

鹿児島の主な作物

さつま芋
新じゃが
新人参
ピーマン
キャベツ
大根
豆類(そら豆、絹さやなど)

東京までは移動距離が長いので
首都圏に出荷される野菜は高単価な物が多く

キャベツや大根、白菜などの重量野菜については
九州内や関西以西で消費されることが多いです。

 

 

今回の視察で学んだこと

 

各地の農家さんは様々な工夫をしており
「匠」を感じさせていただくことが多いです。

今回の学びは大きく3つ

・栽培方法の違い
・資材の違い
・ピーマンの栽培について

 

①栽培手法の違い


キャベツの圃場をみるのは何度もあるのですが、
鹿児島では他と違う点が有りました。
畝が高くなっています

写真ではうまく表現ができないのですが
他の産地と比べると畝の高さが5~10センチ程度高いです。

この理由をとして台風がくる可能性が高いので、
根を深く、広く張らせる目的で畝を高くするそうです。

ちなみにこの雑草は、畝を整える機械を走らせると簡単に抜けるそうです。

«参考» 北海道のキャベツ圃場 

畑の面積が数十倍なので使用する機械も全然違います

 

②資材の違い

苗床をつくるトレーが白くて驚きましたが
季節によって白と黒を使い分けると教えてもらいました。

白→気温が高い時期に日射を反射させるため
黒→気温が低い時期に日射を吸収させるため

 

今回はまだ時期が早かったのですが、マルチという
野菜の株元を覆うフィルムも白と黒を使い分けるようです。

 

ちなみに、こちらの農家さんは工夫をしていて、
苗の上に肥料を乗せていました。
他にも土壌を分析して自分の畑に最適化された肥料を
オーダーメイドでつくるなど勉強させていただきました。

 

«参考»北海道の苗 黒いトレーですね。
ちなみに、このトレーも128穴と256穴と2種類あって、
苗をどこまで大きくするかを考えて使い分けているんです。

 

③ピーマンのハウスは凄かった

お子さんが苦手な野菜トップ3に入るピーマン。
目の前で収穫してもらったものは水分たっぷりジューシー
生でも美味しく食べさせていただきました。

 

ピーマンの栽培は「匠」を感じました。
1本の木から4つの枝を選定し、ロープで結ぶそうです。
このロープの引っ張る力を調整して成長のコントロールをするそうです。

 

ハウスは奥行き50mで80本の気が植えてあるそう。
片側2本ずつロープを結ぶのですが、片道1時間。
往復2時間かかるとのこと。

農家さんって本当に凄いなと感じます。
また、たくさん売って貢献したいと思います。

作物や地域によっても「匠」の定義は違いますが
ナレッジが共有化されていないのはもったいない。

腕のいい「未来志向」の農家さんたちとチームを作り
農業が強くなる手伝いをしたいと感じています。

 

 

番外編 キャベツの定植について

こちらは9月末のキャベツの定植の風景です。

定植にはトラクターを使います。
広大な面積にキャベツの苗を植えるので数日かけての作業。

キャベツの苗は大量に運ばれます!

 

 

元気いっぱいに育った苗は畑に植えられて12月から順次収穫となります。
業務用のキャベツは大きさの選別をしたり箱詰めをすることなく300kg単位で「鉄コン」と呼ばれる
金属のコンテナに詰められて加工工場に運ばれます。

 

編集後記

さつま芋が品薄です

焼き芋、スイートポテト、栗きんとんなど
年末に向けて需要が高まる「さつま芋」が
大変なことになっているのをご存知ですか?

「基腐病(もとくされ病)」という病気が大流行しており
さつま芋が大ダメージを受けています。

カビ系の病気とのことですが、原因が解明されておらず
農薬も存在しないので非常に困っています。

6年前くらいから沖縄からはじまり、3年ほど前から
鹿児島でも被害が広まり悪化をたどっているようです。

収穫量が半分くらいになってしまうようで、
しかも中が黒くなるケースも多発しておりクレームが多発するとか。

種子島では安納芋が絶滅してしまうかもしれないとの話を聞きました。
既に関東でも被害が出ているので広まらないことを祈っております。

沖縄では紅芋が全然足りなく、代替として他県の紫芋を集めているようです。
次回は安納芋の産地「種子島」にいってみたいと考えております。

畑で起きていることを素早くお伝えできるように最善を尽くします!