北海道 産地視察レポート
2021.05.23
産地視察
野菜情報
北海道 産地視察レポート
From 池田 将義
ベジクルで昨年から始まった新プロジェクト
「産地開発」
長年業界の中で培ってきた生産者さんとのネットワークを新しい武器に
スーパーや加工工場、食品メーカーさんに商品供給をしております。
また、農家さんに寄り添った流通加工の事業も産地開発の一環として
同時に立ち上げて走り続けております。
すべてのご注文が「トン単位」のロットのお仕事。
供給責任があり「絶対に欠品できない」プレッシャーの中
当社バイヤーは激しく日本中を飛び回っております。
今回は北海道に産地契約があるとの事で私も同行させて頂きました。
産地視察の目的は3つ
・野菜の流通加工の事業所の立ち上げ
・顔の見える野菜の産地買付
・契約栽培をする〇〇の件での確認
ベジクルが野菜の流通加工ビジネスをする理由
作ることに専念したい農家さんたち
生産者さんとコミュニケーションを取っていて意外だったのが
生産よりも選別や袋詰などの加工に多大な時間をかけていることでした。
流通ではサイズ・規格が揃っているのが当然でしたが
産地でこれが負担になっておりました。
しかも農業の世界は人手不足で困っています。
帯広のような地域でも時給1800円の派遣を使っているケースも
あるようです。
人材不足に悩む農業を少しでも支えていきたい。
そこで、ベジクルが産地と消費地の中継地点を設けて
サイズ選別や加工、出荷代行を一括してお手伝いしております。
今はまだ九州にしか拠点がないので、次は北海道という事で
恵庭近くにある物流会社さんの倉庫の現地調査をさせて頂きました。
恵庭市の周りにはほうれん草やレタスの畑が多くあり
暑い夏時場の中間保管場所としても活躍してくれそう。
そして、大事なのは厳冬期の除雪環境や暖房システム。
氷点下は当たり前の世界なので、貯蔵の玉葱やじゃが芋も凍結してしまうので
暖房環境は絶対とのこと。
うーん。奥が深い。
顔の見える野菜の産地買付
今回はスーパーのバイヤーさんと食品メーカーさんの加工原料用に
依頼されている契約分の買付で帯広まで移動。
十勝帯広は東京の市場にも入荷のある一大産地。
主に作っている野菜は、じゃが芋、メークイン、長芋、大根、玉葱、キャベツ、ごぼう
政策作物としてはビート、牧草が多いとのことです。
今回は生産計画を聞いて、苗の状態をチェック。
生産面積を聞くと反あたりの収穫量が予想できるそうです。
とは言っても北海道って畑がケタ違いに大きく1つの畑が3町歩とか混乱します。
見わたす限りのこの畑で3町歩だそうです。
参考までに東京ドームが4町歩なので、そのくらいのサイズ感なんですね。
こちらの生産者さんは50町歩やっているといってまして、
視界に見えるすべての畑が何個もあるって…ロマン感じてしまいます。
今回は立ち話で玉葱50トン、メークイン5トン、キャベツ10トン、長葱10トンの契約の話をしておりました。
市場で野菜を買っているワタシとしては単位の大きさに愕然…
ベジクルで飲食店さんに販売している野菜の量でキャベツが1日1トン強。
そう考えるとフムフムと思えるのですが生産者さんと畑で話し込んでる
ウチのバイヤーは頼もしくかっこいいナイスガイです。
差別化を追求しているスーパー
私も昔は都内にあるスーパーマーケットで働いていた経験があります。
スーパーは来店を待つビジネスなので、
猛暑の日も、大雪の日も来店客を待つ商売。
どこにでも売っている商品を並べているだけでは価格競争に巻き込まれ
ただでさえ少ない利益率が更に減ってしまう。
今の時期はコロナ禍で外食に行かない消費者の方が集まるが故、
順調に成長をしているので、順調な今のうちに「顔の見える野菜」を使って
集客力とコストダウンをとお考えのバイヤーさんから多数ご相談を頂いております。
スーパーのバイヤーさんは産地に行くことは決して多くないので
我々が間に入ってコーディネートをしております。
産直で野菜を調達するポイント
すべての野菜が産直に適しているかというと決してそんなことはありません。
ここでポイントとなるのが
運賃
鮮度
当たり前の話ですが、産地で買ったほうが市場で買うよりも安くなるケースが多いです。
(厳密に言うと産地のほうが高くなるケースも多々ありますが…)
安く買うことができても、運賃を考慮しないと結果高くなってしまうという事も
起きてしまうのが産直野菜の難しいところ。
大型トラック満載分の買付をすれば合理的なので、
100店舗ほどあるスーパーのセンターに直接納品というケースも多いです。
また、忘れてはいけないのが鮮度。
到着してイタミが出てしまったらロスで原価が高くなってしまうこともあります。
そのため商材を選んで調達することを念頭に産直の野菜の買付をするのが理想です。
最近流行りの「産直EC」では産地からダイレクトに野菜が届くのがウリですが
宅急便で届けていたら商品代金の40%は運賃になってしまいます。
産直がベストな野菜
上で記載したとおり、すべての野菜が産直に適している訳ではありません。
個人的な感想とともに産直に向いている野菜を書いてみました。
長ネギ
長ネギは容積が小さい、kg単価が高く比較的日持ちもするので
産直には向いている野菜の一つです。
しかし、相場が安い時期もあるので、地元で調達できない時期に使うのがおすすめ。
玉葱
玉葱は業務用、スーパーの販売用どちらでも売れ筋商品の一つ。
しかも日持ちもするという最高の条件なの産直するのに最適な野菜です。
じゃが芋・メークイン
男爵芋系も同じく、日持ちがするし玉葱と近い地域で栽培している場合が多いので
玉葱と一緒に配送をするとコストダウンが可能となります。
長芋、ごぼう
長芋、ごぼうは花形商品ではないのですが、芋、玉葱と産地が近いケースが多く
日持ちもするという理由で挙げました
トマト、ミニトマト
果菜類とよばれるトマト類ですが、容積対比の単価が高く、
売れ筋でもあるという特徴があります。
しかも、生産者の腕が味に出る部分もあり産直には適しています。
特に夏の北海道産と冬の九州産の時期ですね。
春秋は比較的どこでも美味しいトマトを作りやすい時期でもあるので
地場産が安いケースもありコストが合わない可能性があります。
いずれにしても、トマトは容積が小さいので3箱でまとめて発送などが可能なので
宅急便でもまだモトが取れる野菜です。
栽培契約をする野菜の確認
まだテスト段階なので詳細はお伝えできませんが有名な農業関係の企業さんと提携し
産地開発・契約栽培・加工流通の一大プロジェクトが始まりました。
まずは今夏の北海道産から実験的にスタート。
とある野菜で新しい機械化農業をして、
流通の新しいスタンダートを構築するのが目的。
農家さんには作業効率を上げて、収量を増やし、
反収を上げることに挑戦してもらいます。
販売先のスーパー様も内定しており、
関東50店舗、関西50店舗くらいで実験販売をさせて頂く予定です。
一筋縄では行かないと思いますが関わる皆さんにご満足してもらえるように
コーディネーターとして頑張っております(^^)
今回は育苗の状態を確認してきました。
ハウス内の風の通り道の苗が少し成長が遅れているそうですが
定植したら問題ないでしょうとのことでした。
詳しくは後述しますが、プロのバイヤーの目利きは勉強になります。
生産の事を分からないと農家さんと信頼関係が深まらないと日々話しているのが
よくわかりました。
こちらの野菜を苗を見て分かる方がいたらぜひm.ikeda@vegekul.comまでご連絡ください。
旬の野菜の詰め合わせをプレゼントしますので(^^)
野菜バイヤーの畑をチェックするポイント
ベジクルのバイヤーは元々農協で働いていた経験もあり、農家をしていた経験もあり
大手外食企業でバイヤーを長く勤め上げてきたスーパーバイザーです。
当社のような中小企業によく入ってくれたなと常日頃感じております。
ともに産地に行く機会が増えてきているので、勉強にと
社内、社外の方に向けて学びをシェアさせてもらいます。
①定植前に苗を見るのがバイヤーの極意
機械化農業をしている場合、基本的に機会で苗を定植していきます。
下の写真のようなポットの中に120くらいの苗が入っているんですね。
これを作業車で穴を開けて植えていくイメージです。
流石だなと感じたのは、この苗を抜いて根の状態をチェックしてました。
これ見て何が分かるんだろうと思いますよね。
注目のポイントは根の張り方と根の色。
左のものが良い苗で、右がダメな苗です。
②地域の栽培計画を目で見て相場を先読みする
契約していない畑も含めて車を走り続けるバイヤー。
地域で何を作っているのかを自分の目で見て調査し、
今年の出荷量を先読みしているんです。
畝の形で何を作っているか分かるんです!
畝間 畝の間隔
株間 株の間隔
これを見ると簡単だと言われているのですが…
プロの目はすごい
じゃが芋
玉葱
大根
長葱
アスパラ
玉葱
③雑草をメンテナンスしているか
今回の産地視察では定植の視察がメインでしたが
雑草のメンテナンスができているかが実は重要とのこと。
理由としては、雑草処理をできていないと
良い野菜ができないからとごもっともなご意見が。
また、収穫につかう農機具についても雑草が多くあると
ダメージを受ける可能性が大きいようです。
このあたりはまた別の機会に産地訪問した際にアップデートしていきます。
④イケてる生産者さんは庭先がキレイ
結局、こちらも写真を取り忘れてしまったので
次回にアップデートしていきますが
作業場の玄関口や庭先が整理整頓されているか見れば農家さんの力量は
すぐん分かるよと言っていました。
確かにお邪魔させていただいた生産者さんの作業場は整えてありました。
野菜の仕事って奥が深いなと改めて学びました。
産地を学び、より全体最適に。
今はまだ、バリューチェーンの中で部分最適の集合体となっています。
我々のような中間流通が農業を深く理解すれば
少しでも全体最適に導いていけると感じます。
コーディネーターとして作る人、食べる人を繋いでいけるように最善を尽くします。
今回は生産の現場を学び、生産者さんに少しでも貢献するにはどうしたらいいか?
と考える機会をいただきました。
有難うございます。
おまけ
帯広の畑のど真ん中にあるジンギスカンの名店「白樺」
北海道で食べた食事で一番美味しかったです
メニューはシンプル
・ラム
・マトン
・米
・キムチ
以上…みたいな店でした。
ラムは臭みがまったくなく、筋もないので美味しいですね。
めちゃくちゃヘルシーに感じました。
近くに行く機会があったらぜひ。