見た目も美しい「なすの女王」賀茂茄子
2023.07.17
野菜情報
見た目も美しい「なすの女王」賀茂茄子
丸みを帯びてコロコロとした見た目で可愛らしい
賀茂茄子
の出荷が始まりました。
突然ですが、「惚け茄子」と書いて「ぼけなす」
これは主に悪口として使われていますが、意味は
収穫しないことで時間が経ち、艶がなくさらに水っぽく美味しくなくなった茄子を指します。
これに対して賀茂なすは、その正反対とされています。
やっぱり悪口のような気もしますが、コロコロとした見た目の可愛さだけではなく、
その美味しさで
なすの女王
と言われる京の逸品です。
■産地と時期
主な産地は、京都市や亀岡市、綾部市。
京都での収穫時期は6月中旬頃から10月中旬頃となっています。
賀茂なすはほぼ露地栽培となり、出荷先は、京都府内や首都圏とされています。
京都の上賀茂の人々によって大切に受け継がれている「京の伝統野菜」です。
●京の伝統野菜とは
下記の条件を満たすもののことを指します。
京マーク
【京の伝統野菜の定義】(昭和63年3月京都府農林水産部)
1.明治以前に導入されたもの
2.京都府内全域が対象
3.たけのこを含む
4.キノコ、シダを除く
5.栽培または保存されているもの及び絶滅した品種を含む
※京都ホームページより
賀茂茄子は「京の伝統野菜」と共に「京のブランド」としても指定されています。
京の伝統野菜とブランド産品の関係図
公益社団法人 京のふるさと産品協会より
京野菜の主役にもなると言われるほど、京都から愛されている茄子なんです。
■特徴
賀茂なすは、大型で丸く濃い紫のツヤツヤの光沢が美しい。
私たちがよく目にするなすは下の写真のような細長い形をしていますが、
『賀茂なす』はほぼまん丸で、直径は約10センチ程度。
肉質が引きしまっていて、ずっしりと重く、同じ大きさの普通のなすよりも、重いです。
直径15cm、1個300gにもなるものもあります。
へたの下が白くなっているのも特徴。
へたが3つに分かれ三角形になっっている「三へた」とされるものが最上級。
ただこのへたの先には、鋭いトゲがついているので要注意です。
見た目も美しく、食べてもおいしいことから「なすの女王」ともいわれる所以でしょうか。
賀茂なすは風で葉が触れるだけで傷ついてしまったり、
「水喰いの肥料喰い」と言われるほど、水の管理のタイミングを間違えると表面の
色艶がボケてしまったりととても繊細。
さらに葉の陰になった部分は果色が薄くなってしまうため葉はこまめにつんだりと
栽培には非常に手間がかかります。
傷もなくツヤツヤな「賀茂なす」を作るには丹精込めてきめ細かく世話をした結果
自ずと値段も高くなるのも納得ですね。
■栄養
90%以上が水分で、栄養素はほとんどが水分です。
体を内側から冷やす作用があるはその為。
紫色のもとは皮に含まれるポリフェノールの
ナスニン
という成分。
コレステロールの吸収を抑えると言われているので、ポリフェノールを摂取するには
皮ごと食べる方が美容や体にとってもおすすめ。
また、切り口をすぐに茶色にさせる原因は
クロロゲン酸
こちらには、老化やがんを予防する効果や活性酸素を抑える抗酸化作用が。
■美味しい賀茂茄子
張りがあり、表面が艶紫のものを選んでください。
ヘタの部分の棘がしっかりして、触ると痛いくらいの物が新鮮です。
もった時にしっかりと重みを感じるものを選んで。
軽い物は中がスカスカで美味しくない可能性があります。
■保存方法
暖かい時期に採れるなすは、冷蔵庫などで冷やしてしまうと、低温障害を起こし、
硬くなり早く痛む傾向にあります。
乾燥しないように袋に入れて冷暗所に保存。
■賀茂茄子のおすすめ調理法
一部を除いて(水ナスなど)、一般的にナスはあくが強く新鮮でも生では食べられません。
また、切り口から黒く変色するので、切ったらすぐに真水又は塩水に浸けて、アク抜きを行ってください。
油で軽く揚げると美しい紫色の仕上がりに。
肉質が緻密で引き締まっているので煮炊きしても煮くずれせず、油の吸収が少ないので、
揚げ物でもさっぱりした仕上がりになります。
味噌との相性が良く賀茂なすの定番料理といえば、田楽が有名。
京漬物のしば漬等、丸形を生かして広く利用されています。
京の夏の代表、賀茂なすの出荷が盛んなこのタイミングでぜひ、御賞味ください。