🥑アボカド高騰レポート:今後の価格見…

2025.02.21
フルーツ情報
🥑アボカド高騰レポート:今後の価格見通し(2025/2/21)
アボカド高騰レポート:今春の仕入れ見通し
~ バナナの裏話も交えながら解説してます ~
はじめに:アボカド人気と現在の高騰状況
近年、「森のバター」と呼ばれるほど栄養豊富でクリーミーな食感が魅力のアボカド。
サラダやワカモレ、スムージーなど幅広いメニューで使える汎用性の高さから、飲食店やカフェにとって欠かせない食材の一つとなっています。
ところが2023年に入ってから、アボカドはこれまでにないほどの高値を記録しており、多くの店舗で「アボカドの仕入れコストが上がりすぎて困る」「安定的に入手できない」といった声が増えています。
実際、輸入商社の担当者からも「このままではしばらく高値が続く可能性が高い」という報告を受けております。
今回は、アボカドの高騰の背景や主な産地の状況、追熟のポイント、そして今後の見通しなどを詳しくレポートいたします。また、最後にはちょっとした“バナナの小話”も盛り込みましたので、ぜひ最後までお読みいただき、お店の仕入れ戦略やメニューづくりにお役立てください。
1. アボカド高騰の主な背景
スーパーボウルの影響とワカモレ需要
毎年アメリカで開催されるアメフトの祭典「スーパーボウル」シーズンになると、パーティフードとしてワカモレが爆発的に消費されます。この一時的な需要増によってアボカドの国際相場は急上昇しやすく、シーズン直後から在庫が品薄になってしまう傾向があります。今年も例外ではなく、アメリカの旺盛な需要が世界各国のアボカド相場を引き上げています。
生育不良と供給不足
アボカド最大の産地であるメキシコでも、主要生産地であるハリスコ州やミチョアカン州で思うように生育が進まず、出荷量が伸び悩んでいます。これに加え、3月から入荷が始まるペルー産アボカドは「オイル分が少なく硬い」という評価が多く、飲食店用途には使いづらいケースが目立つようです。結果的に、高品質なメキシコ産を求める需要が集中し、品薄かつ高値の状況がさらに長引く可能性があります。
今後の見通し:ニュークロップの開始まで価格は下がりにくい?
アボカドの価格を左右する鍵となるのが、メキシコの新物(ニュークロップ)です。一般的に6月頃に始まるとされますが、それまでは大幅な出荷増が見込めず、相場が落ち着くのは難しいと見られています。引き続きアメリカ国内を中心に需要が堅調なこともあり、しばらくは高値を覚悟する必要があるでしょう。
ただし、トランプ大統領のメキシコへの追加関税が3/4以降に適用開始となると商品の流れが一変する可能性もあるとの話です。
この先の情報が入り次第アップデートしてまいります。
2. アボカドの産地別特徴と流通状況
メキシコ産(ハス種)
- 特徴:世界的に流通が最も多いハス種。発祥の地でもあるミチョアカン州やハリスコ州が主要産地。
- 現状:ハリスコ州の収穫終了が例年より早く、ミチョアカン州も十分な出荷余力がないため、高騰が続く。
- 今後:6月のニュークロップ(新物)入荷までは大幅な下落が期待できない見通し。
ペルー産
- 特徴:3月から出回るが、オイル分が少なく硬い品種が多い。
- 現状:日本の市場では美味しくないと評価が低く、メキシコ産に需要が集中。結果としてメキシコ産の相場が下がりにくい要因になっています。
3. 追熟のポイントと廃棄リスク
アボカドは青いまま輸入され、国内の加工センターや倉庫内で数日間かけて追熟させます。しかし、その工程で廃棄リスクが生じており一年を通すと10%程度のフードロスが発生しているとのことです。
アボカドは基本的に「加温」で追熟する
バナナやキウイなどのフルーツはエチレンガスを利用して追熟させることが多いですが、アボカドの場合は基本的にガスを使わずに18度前後で加温し、熟度が進んだら13度程度まで一気に冷やす方法が主流です。温度管理を誤ると熟成が行き過ぎてしまい、廃棄が増える原因となります。
色回しを計画的に行なっている中で想定外の事態が発生した時に限り、エチレンガスを使い追熟を加速させることもあるそうですがリスクが非常に高いらしく基本は加温でのみ追熟をするそう。ちなみに、エチレンガスはりんごから発散される物質で、商社の色回しのプロが言うには、「遠くの産地で若取りをして冷蔵で運ばれて果物たちを起こす目覚まし時計のようなもんだ」との話をしていました⏰
廃棄リスクの要因
- ヘタの部分から菌が侵入
収穫時にヘタをカットするため、その断面から菌が入って内部に黒い斑点が出やすい。 - 胴体のカビ発生
温度が高い状態が続くと、カビが発生しやすい。 - 廃棄率は10%前後
品質や時期によってはさらに高まることもあり、加工センターの“はね品”として弾かれ、店舗に届くまでに数が減ってしまう。 - もちろん上記に合わせて追熟の失敗も発生するとのこと
加温をすると当然ながら菌の活動も活発になるので追熟過程で痛みは多発するそう。
大きさ・サイズ選びも重要
アボカドは1箱5.5kgで24玉・30玉・35玉などサイズ別に流通します。
- 24玉(大玉):単価は高いが可食部が多く、歩留まりが良い。
- 30玉・35玉:比較的手頃だが、個数が増える分だけロスも増えやすい。
- その他:スーパー向けに4個パックなどで小売される場合も。
飲食店のメニューや使用量に合わせ、最適なサイズを選ぶことで無駄を減らすことができます。
光センサーで選別をしている中での弾かれ品が毎日大量に出るそうで、一部痛んでいるけど激安なアボカドにもしご興味があるお客さまはぜひご相談ください。
こちらが光センサーで弾かれた品物。従来は捨てられていたそうですが、今後ベジクルでは取り扱いも検討しています。
もしご興味あればお問い合わせお待ちしております!
4. 飲食店向けアボカドの仕入れ対策と今後の展望
仕入れの工夫
- 卸・加工センターとの連携強化
- 追熟が終わったタイミングや痛み品(スポット)が出たときに速やかに確保する
- 月での調達量がある程度予測できるならば交渉する
- 箱で仕入れるなど、調達ロットを大きくして安く仕入れる
- メニュー数や使用量の見直し
一時的にアボカドメニューを絞る、もしくは大玉を選んで歩留まり向上を狙う。
(ベジクルでは最も歩留のいい24玉を取り扱ってますので、ご安心ください🥑)
6月以降はどうなる?
メキシコ産のニュークロップが始まる6月頃からは、供給量が増えて相場がやや落ち着く可能性があります。ただし、アメリカにおけるアボカド人気や円安などの要素も絡むため、劇的に価格が下がる保証はありません。最新の市場情報を常にチェックし、状況に合わせた柔軟な仕入れ計画が求められます。
なお、アボカドの新物、貯蔵物の切り替え時期(端境期)は品質がとても悪くなり、八百屋としては非常に苦しい時期です。
ごく少数、クレイジーフラワーという季節外れに出される品物をうまく確保しながら品質の安定には努めますが、新物のアボカドはねっとり感が少なく少し水っぽくサクサクするような歯触りなので美味しいアボカドをお届けするのが難しいのはご理解いただけますと幸いです😢
5. バナナの“小話”:実はこんなところにも課題が
さて、ここで少し脱線して、同じく輸入フルーツの代表格であるバナナに関する裏話をご紹介します。アボカドと同様、バナナも温度管理や生育環境の影響を大きく受けるデリケートな食材です。
“P級品”ってご存じですか?
輸入の過程で検品や抜き取り検査を行う際、袋を破ったりして外観が多少損なわれたりしたものは、いわゆる**「B級品」や「P級品」**として扱われることがあります。
- P級品:検査時に袋を開封した残りや外皮に傷のあるもの。捨てるのがもったいないため、安価で出回ることも。
- B級品:軸が傷んでいたり、房が小さいなど商品価値が下がったもの。
バナナのさまざまな形態
バナナは輸入時にハンド(房)、クラスタ(CL)など複数の形態で入荷します。
- ハンド:数本がまとまった“房”状態。
- クラスタ(CL):やや小分けされた状態。
- FG :袋詰めされた状態。
これらを必要に応じて加工し、店頭で販売したり業務用に卸すわけですが、雨季が続く中南米(フィリピン・エクアドルなど)から入荷したバナナは品質が劣化しやすく、B級品が発生するリスクが高まります。
有名ブランド「ドール」も、産地で切り落としたバナナの端材や軸の痛みやすいものを“訳あり品”として安価に販売することがありますが、軸が悪くなるのが早いため取り扱いに注意が必要です。
6. ベジクルのアボカドは美味しい🥑
ベジクルの取り扱っているアボカドは商社の腕利きの方にサポートしてもらっているので「熟度管理」が秀逸。
お店に到着してすぐに使っても美味しい熟度は、在庫管理をミスるとあっという間にロスになってしまうのですがデータに基づいた需要予測をしているため非常にいい状態でお届けができる「逸品」です。
翌週のアボカドの仕入れ数が先読みできるからこそ、商社とも交渉ができ計画的に追熟加工ができるので熟度管理が最適な美味しいアボカドを自信持ってお届けできるのです!!
アボカドの高騰は、単純な需給バランスだけでなく、産地の生育不良やシーズンイベントの需要拡大など、さまざまな要因が重なって起こっています。少なくとも今年はメキシコ産ニュークロップが始まる6月ごろまでは高値が続く見込みが強いため、飲食店やカフェとしては柔軟な仕入れ計画やメニューの工夫が求められると思いますが、大ロットで仕入れているベジクルだからできるサポートにご期待ください💪
また、輸入フルーツの世界ではアボカドだけでなくバナナでも検品によるB級品・P級品の発生など、さまざまな課題が存在します。こうした背景を知っておくことで、メニューによって割安な規格外品を調達してコストダウンも可能!!
7. お問い合わせと今後のサポート
当社では、輸入商社との連携やベジクルの物流センターでの確かな検品・追熟管理を行っています。アボカドの仕入れに関するご相談や、メニュー開発に向けたアイデア共有など、お気軽にお問い合わせください。
最新の市場動向や果物のトレンド情報など、引き続き当ブログで配信してまいります。ぜひ定期的にチェックしていただき、皆さまのビジネスにお役立てください!