野菜が急に高いのはなぜ?9月の長雨・豪雨で入荷激減|飲食店向け最新相場

約6分で読めます

毎度ありがとうございます。ベジクルです!

9月に入り、飲食店のお客さまからこんな声をいただくことが増えてきました。

「野菜、急に高くなってない?」
「先週までこの値段じゃなかったよね?」
「レタスや葉物が高すぎるけど、何が起きているの?」

その感覚、間違っていません。

9月上旬から野菜の入荷状況が急速に悪化し、品目によっては9月初旬と比べて仕入れ価格が2倍以上になっています。

原因のひとつが、産地で続いている長雨と集中豪雨です。

今回、実際の産地から届いた写真を見て、私たちもかなり驚きました。

畑が「畑」ではなくなっています

一見すると池のように見えますが、ここは野菜を栽培している圃場です。

そしてこちらはハウス。

ハウスの中まで水が入り、野菜が水に浸かっています。

野菜は雨が降れば育つ、というほど単純ではありません。

大量の雨が続いて畑の排水能力を超えると、土の中の酸素が不足して根が傷みます。さらに湿度が高い状態が続くことで、腐れや病気が一気に広がります。

つまり今起きているのは、

「収穫量が少ない」だけではなく、「育っている野菜まで商品として出荷できなくなる」状況です。


長野のレタス産地では、9月上旬の雨が平年の約2.3倍

今回の状況を象徴しているのが、長野県の高原野菜です。

長野八ヶ岳農協が9月10日に公表した資料によると、今年のレタスはもともと7月下旬から8月上旬の高温・干ばつで、生育にばらつきが出ていました。

そこへ8月中旬以降の気温低下、さらに9月の長雨が重なりました。

9月上旬だけで降水量は145mm。平年の61.7mmに対して約2.3倍です。畑に水がたまり、根傷みや病害が増え、出荷できないレタスも増加しています。

さらに厄介なのが、

「雨が止まれば翌日から元通り」ではないこと。

一度根が傷んだ野菜はすぐには回復しません。

農協も、高温・干ばつ→気温低下→低温多雨という複数のストレスが重なって出荷数量が著しく減少しており、雨や曇天が続けば9月下旬まで数量・品質への影響が残る可能性があるとしています。

農畜産業振興機構も、9月の長野県産レタスについて、猛暑の影響から出荷量が減少して推移するとの見通しを示しています。野菜データベース

なぜ野菜の値段が急に2倍になるの?

ここが飲食店さんに一番知っていただきたいポイントです。

青果市場の価格は基本的に、

入荷量 × 需要

で決まります。

野菜は工業製品ではありません。

「レタスが足りないから、来週から工場を2倍動かそう」ということはできません。

むしろ今回のような長雨では、

豪雨・長雨
↓
畑が冠水する
↓
根傷み・病害が発生
↓
収穫できる野菜が減る
↓
市場への入荷量が減る
↓
必要量を確保するため買いが集中する
↓
相場が一気に上がる

ということが起こります。

だから、昨日まで1ケース2,000円だったものが、数日後には3,000円、4,000円になることもあります。

飲食店さんからすると「八百屋が急に値上げした」ように見えてしまうのですが、実際にはその手前の産地と市場で争奪戦が起きているわけです。

いま特に注意したい野菜

今回、特に警戒しているのがレタス・サニーレタス・グリーンカールなどの葉物野菜です。

葉物は水分が多く、長雨や高湿度の影響を受けやすい品目です。

しかも9月はもともと夏産地から秋産地へ切り替わる「端境期」。

長野などの高冷地産地が終盤へ向かう一方、茨城・群馬など秋産地の出荷が十分に増えるまでにはタイムラグがあります。

そこへ今年は長雨が重なりました。

「端境期 × 長雨 × 病害 × 入荷減」

という、野菜相場にとってかなり厳しい条件が重なっています。

「野菜全部が2倍」ではありません

ここは記事で明確にしておきたいところです。

農林水産省が公表している9月10日時点の東京都中央卸売市場のデータを見ると、すべての野菜が平年より高いわけではありません。

キャベツなど平年を上回る品目がある一方、ばれいしょやピーマンなど平年を下回る品目もあります。農林水産省

つまり、

「野菜が全部高いから仕方がない」ではなく、今は品目ごとの差が非常に大きい。

ここが重要です。

飲食店の原価対策としても、高騰している商品をそのまま買い続けるのではなく、相場の落ち着いている野菜へ一部置き換えることが有効です。

飲食店さんにお願いしたい3つの仕入れ対策

① 葉物野菜は「いつもの規格」にこだわりすぎない

特定産地、特定サイズ、特定等級に限定すると、現在のような品薄時には一気に仕入れ価格が上がります。

メニュー上問題がなければ、産地やサイズを広げるだけでも調達しやすくなります。

② 代替できる野菜は積極的に変更する

サニーレタスが高ければグリーンカール、国産にんじんが高ければ輸入品など、用途によって選択肢を増やすことが重要です。

ベジクルでも現在、単純に「注文されたものを届ける」だけではなく、用途を確認したうえで価格と品質のバランスが良い商品をご提案することを強化しています。

③ 必要量が多い商品は早めに相談してください

相場が荒れている時ほど、「明日10ケース欲しい」という注文が難しくなります。

特にレタス類や葉物を大量に使用する店舗・チェーン店さまは、数日前に必要量が分かるだけでも確保できる可能性が大きく変わります。

野菜はいつ安くなる?

これが一番難しいところです。

現時点では、9月下旬にかけて徐々に回復する可能性を見ています。

秋の産地からの出荷が増えれば、市場への供給量も回復するためです。

ただし、今回は単純な端境期だけではありません。

長野八ヶ岳農協も、今後さらに降雨・曇天が続いた場合には、9月下旬まで数量・品質への影響が残る可能性を示しています。

そのため、

「○日になれば必ず安くなる」とは言えない状況です。

天候が回復すること、そして次の産地の出荷量が増えること。この2つが揃って初めて相場は落ち着いてきます。

ベジクルは「高い理由」までお伝えします

野菜の値段が急に上がれば、

「なんでこんなに高いの?」

と思うのは当然です。

私たちも八百屋として、単に「市場が高いので値上げします」で終わらせたくありません。

今回の写真のように、実際に産地では畑が水に浸かり、生産者さんが出荷できる野菜を必死に確保しています。

一方、飲食店さんも食材、人件費、光熱費などさまざまなコスト上昇に直面しています。

だからこそベジクルでは、

「高いものは高い理由を説明する。代替できるものは提案する。安くできるものはできる限り安くする。」

この姿勢で、相場が荒れている時期を乗り切りたいと思っています。

編集後記|野菜が高いときこそ、八百屋の仕事が試されます

青果市場には「モガキ」という言葉があります。

品物が足りず、八百屋や仲卸が市場中を探し回って、文字通り“もがく”ような状態です。

9月に入ってから、久しぶりにその言葉がぴったりくる日が増えてきました。

ただ、こういう時に単純に高い商品を仕入れて、そのままお客さまへ価格転嫁するだけなら、八百屋が存在する意味はあまりありません。

産地を変える。
規格を変える。
代替商品を探す。
輸入野菜を使う。
相場が下がっている商品を提案する。

市場にはまだまだ選択肢があります。

野菜相場が落ち着くまで、ご不便をおかけする場面もあると思います。

「この野菜、高すぎるんだけど代わりない?」という相談だけでも大丈夫です。

野菜が高い時こそ、遠慮なくベジクルに相談してください。

この記事をシェア