2025年4月の野菜・果実相場展望|仕入れのポイント…

2025.04.03
市場情報
2025年4月の野菜・果実相場展望|仕入れのポイントと最新市場データ
飲食店や食品加工工場のバイヤーの皆さま、こんにちは。
3月は寒波や干ばつの影響が続き、野菜や果実の価格高騰が話題となりましたが、4月は春作が徐々に出揃うシーズンでもあります。今回は市場の相場見通しや、生産地情報などをもとに、2025年4月の野菜・果実の相場動向を解説していきます。
ポイント
3月下旬は暖かい日も増え、春野菜が一気に増量するタイミングだが、寒暖差が激しく不安定。
果実はかんきつ類が依然高値続きの一方、いちご類やメロンなど施設物が出回り始め、品目間の差が大きい。
大型連休(GW)前後で相場が変動する可能性があるため、タイミングを見極めた仕入れがカギ。
3月の振り返り & 4月の全体見通し
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3月の気象影響
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関東などで雪が降るほどの寒さがぶり返したかと思えば、20℃超えの日が続くなど極端な気温変化が起きました。
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干ばつ傾向が一時的に解消された地域もある一方、今度は雨の影響で作業が遅れた産地もあり、全体的に入荷量は伸びきらず高値推移が続く品目が多かったです。
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4月の供給増に期待
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市場のレポートでは、春作出荷が本格化するために多くの野菜で価格下落が見込まれていますが、天候しだいで予想が外れる可能性も十分あります。
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大型連休前の需要増を見据え、量販店などの特売が入りやすい品目もあるため、相場の上げ下げが短期間に起きやすい点に注意が必要です。
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果実はかんきつ類の高値と、いちご・メロンの増量がポイント
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かんきつ類は昨夏の高温不作の影響が続き、不知火や甘夏など多くの品目で高値が続く見通し。
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いちご類はすでにピークを越えた産地もありますが、4番果などがまだ続く地域があり、供給量にバラつきが見られそう。メロンは静岡・熊本のハウスものが増えてくる一方、依然としてやや高値で推移する予想です。
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主要野菜の動向と仕入れのポイント(市場レポートから)
高値が続く品目
白菜
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相場見通し:前年比113%の高値継続
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状況
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茨城産の貯蔵分が少なく、新物の兵庫産(淡路島中心)は全体の供給量の8%程度で依然として逼迫。
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3月末ごろから茨城産の春白菜が出てくるため、そのタイミングで価格が一気に落ち着く見通し。
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注意点:3月前半の鍋需要などで、相場が下がりにくい状態が続いた延長が4月前半にも及ぶ可能性あり。
長葱
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相場見通し:前年比130%の高値キープ
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状況
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千葉・埼玉産が干ばつ&低温の影響で生育遅れ。例年より30%以上高い価格で推移中。
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太めの規格が割高で、細めを選ぶか輸入品を活用してコスト調整をする動きも。
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注意点:4月以降も大きな値下がりは期待薄。少なくともGW前までは高値傾向という報告あり。
じゃがいも
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相場見通し:前年比120%の高値推移
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状況
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北海道産の貯蔵分は例年4月までのところ、今年は3月中に切り上げる可能性。
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新じゃが(鹿児島など)も少雨&寒波で不作。メークインは生産面積縮小により必ず高騰すると懸念。
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注意点:在庫を持つ出荷サイドが価格コントロールしやすいため、一気に相場が跳ね上がるリスクあり。
にんじん
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相場見通し:前年比114%の高値維持
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状況
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千葉・埼玉産の冬にんじんが3月中に終了し、品質面でもぬめり・す入りが目立つ。
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徳島産の新にんじんがメインとなるが、量が少なく価格下落の見込みはほぼゼロ。
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注意点:例年は4月10日~GWあたりに高値ピークだが、今年は3月~4月も暴騰の懸念。輸入にんじん活用も選択肢。
価格が落ち着きそうな品目
キャベツ
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相場見通し:前年比97%でやや下落
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状況
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冬系(愛知など)は依然として高めだが、春系(千葉・神奈川産)が増え始めると全体の相場は下がる。
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業務需要が高い冬キャベツは相場が堅く、3000円台を割らない可能性も。
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仕入れのヒント:一時的に輸入キャベツを活用してコストを抑える店舗も増えている。
ほうれん草
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相場見通し:前年比89%で下落傾向
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状況
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茨城・群馬産の生育が回復し、3月末から潤沢に出回る見込み。
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葉物全体が不足しがちな中で、ほうれん草だけは比較的落ち着く可能性大。
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レタス
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相場見通し:前年比95%でやや下落
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状況
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茨城・兵庫産を軸に3月下旬にピーク、4月上旬まで安定出荷。
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その後、群馬産のスタートに伴い相場が軟調になる見通し。
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トマト
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相場見通し:下旬に向けて弱含み(前年比98%)
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状況
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熊本・栃木・愛知が主力。2月の寒さで小玉が増えたが、3~4月半ばにかけて回復。
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大玉シフトの春作が出てくると全体量が増し、価格が下がる見通し。
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ブロッコリー
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相場見通し:安定(前年比100%)
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状況
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愛知・徳島・静岡などで気温上昇に伴い生育がスムーズ。
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安い産地だと花が咲きやすい品質リスクがあるため、荷姿(氷詰め・発泡など)に注意。
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アスパラガス
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相場見通し:供給安定(前年比98%)
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状況
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国産が増え、輸入品から切り替える飲食店も。柔らかく筋が少ない春アスパラは人気。
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そら豆・スナップえんどう
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相場見通し:安定(前年比102%)
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状況
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鹿児島・長崎・愛知など、順次増量。特にそら豆はぷっくりとした大粒が旬。
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大きな相場乱れは想定されず、彩り需要に応じて安定的に使える。
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たけのこ
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相場見通し:初物高値(前年比120%)
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状況
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九州・四国中心に4月に入り増量。裏年や一部干ばつの影響で全体量は少ない。
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3月下旬~4月初めの初物は高値だったが、徐々に落ち着く見込み。
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その他主要野菜
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きゅうり:冬作が終盤、春作が増えるため4月中旬以降に価格下落が期待される。
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ナス:高知・福岡産。3月終盤から数量安定が始まるが、まだ平年よりやや高い水準。
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玉ねぎ:北海道産の在庫減と新玉(佐賀など)への切り替えでやや高値。
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ピーマン:茨城・宮崎・高知で作柄良好。4月は増量→相場は緩やかに下がる見込み。
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ねぎ:3月末~4月に秋冬作が切れ、春ねぎのピークがくる。依然品薄感あり高値基調。
主要果実の動向(新宿市場レポートから)
かんきつ類は不作続きで高値
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甘夏柑・不知火・清見 など、昨夏の高温・干ばつにより全体的に数量少なめ。
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熊本・鹿児島・愛媛などの産地別で少雨や作付減が重なり、引き合いは強いが荷動きは鈍い。
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八朔・河内晩柑・日向夏なども裏年や生育遅れが多く、高値を維持する品目が大半。
いちご類はピーク過ぎもまだ出荷続く
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2~3番果が多かった3月に比べ、4月は花芽がやや少なく出荷量が減りがち。
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佐賀産や関東産などまだ増量する産地もあるが、暖候期に入り品質優先の出荷が多くなるため、価格の上下が激しくなる可能性あり。
メロン・西瓜の施設物が増加
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メロン類(アールス・アンデスなど):静岡・熊本産を中心に出荷が本格化。やや高め。
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西瓜(大玉・小玉):熊本大玉西瓜は着果遅れにより、前半の入荷が少ない見込み。小玉は茨城・群馬で暖冬による前進出荷があるが4月中盤からの天候次第。
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価格が落ち着くかは連休前後の需要と天候に左右されそう。
りんご類・びわ・マンゴーなど
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りんご類:サンふじのCA貯蔵分がメイン。シナノゴールドや王林も入荷あるが、在庫量は前年並み。
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びわ:長崎産の出荷が3月下旬から始まったが、やや遅れ気味で数量は少ない。4月中旬ごろにピークを迎える見通し。
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マンゴー:宮崎産は花芽分化の遅れから1か月近く後ろ倒し。GW~5月中旬に出回る分は少なく、高値予想。
まとめ:4月は春野菜が本格化も、天候リスクに要注意
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野菜
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白菜・長葱・じゃがいも・にんじんといった冬野菜系は依然として高値。
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春キャベツやブロッコリー、アスパラなどは気温上昇で生育が進み、価格が落ち着きやすい。
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GW前の需要増や気温の乱高下で予想が外れる場面もあるため、こまめな相場チェックが重要。
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果実
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かんきつ類の不作高値が目立つ一方、いちごはピークを越えつつも産地によっては続く。メロン・西瓜など施設果実は徐々に増加。
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マンゴー・びわ・さくらんぼ(ハウスもの)などの高級フルーツは生育遅れから価格が高止まりしやすい見通し。
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「今年も天候リスクが大きく、相場に波乱が起きやすい」
こうした状況でも、輸入野菜や規格外品を活用したり、品質・価格が安定している品目を中心にメニューを組むことで、原価を抑えつつ安定供給を実現できます。ぜひ最新の市場情報をチェックし、柔軟な仕入れ計画を立ててみてください。
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