【2025年3月最新】野菜の相場見通しについて

2025.03.02
市場情報
【2025年3月最新】野菜の相場見通しについて
2025年3月の野菜の相場見通し
毎度ありがとうございます。昨年末から続く野菜の高値を通じて「いつになったら価格が落ち着くのか」というご質問を多数いただいておりますので、2025年3月の野菜の相場をまとめました。
主には、東京青果・農水省の相場展望を参考とし、ベジクルの過去の相場データを合わせて記事を作成しております。
今回はフルーツについても簡単にまとめてありますので仕入れ計画の参考にぜひご覧ください。
2月の振り返り&3月の見通し
3月は寒波や干ばつの影響を受けながらも、春作の出荷が本格化する時期であり、全体的には価格が下がる傾向にあります。例年のデータでは、春分の日(3/20)以降に入荷量が一気に増加し、価格が安定するのが通例ですが、今年の3月前半は気温のアップダウンが激しく、雪の予報も出るなど、不安定な気象条件が続いています。そのため、天候次第では相場の予測が外れる可能性もあるため、注意が必要です。
2月は冬作から春作への切り替え期でしたが、地域によって作柄のばらつきが大きく、特に白菜やにんじんは供給不足による価格高騰が続きました。また、北海道産のじゃがいもや玉ねぎは寒波の影響で輸送に遅れが出るなど、市場の流通にも影響が及びました。
果実では、かんきつ類(みかん類)、いちご、りんご、バナナ、パイナップル、キウイフルーツなどが流通の中心。かんきつ類は昨夏の高温の影響で収穫量が減少し、価格が高止まりしている一方で、いちごは2月中下旬から供給量が増え、価格もやや落ち着きを見せています。
市場関係者からは「3月も例年に比べて供給量が少なく、相場が高めに推移する品目が多い」との慎重な見通しが示されています。しかし、ベジクルでは国産野菜にこだわりすぎることなく、輸入品や規格外野菜を活用しながら仕入れコストの削減をサポートしていきます。今後の動向を注視しつつ、柔軟な仕入れ提案を行ってまいりますので、お気軽にご相談ください。

主要野菜の動向と仕入れのポイント
2月対比で高値が続く品目
白菜
-
相場見通し:高値継続(前年比113%)
-
状況:茨城産の前倒し出荷により3月上旬は特に不足気味。兵庫・長崎の春作もやや遅れ。
-
仕入れポイント:白菜は、貯蔵分の茨城産が残り少なくなり、新物の兵庫産との並行入荷が始まる時期に差し掛かっています。現在流通している兵庫県産は主に淡路島産ですが、全体の供給量は市場の約8%程度にとどまり、引き続き相場は高値推移が見込まれます。
一方で、茨城産の春白菜は3月末頃から本格的に入荷が始まる予定であり、新物が増えるにつれて価格は一気に落ち着く見込みです。ただし、3月前半は気温の低い日が続く予報もあり、家庭での鍋需要が引き続き高まることから、短期的には相場が下がる要素は少なく、強含みで推移する可能性が高いです。
長葱
-
相場見通し:高値継続(前年比130%)
-
状況:千葉・埼玉産が中心。干ばつと低温が重なり、出荷量は不安定。
-
仕入れポイント:冬が旬の長葱は、今シーズンを例年比30%以上高い相場で終えようとしています。相場高の背景には、天候の影響による供給不足に加え、「高いうちに売り切ろう」という生産者側の意向もあったと考えられます。
じゃがいも
-
相場見通し:高値(前年比120%)
-
状況:北海道産中心。新物は寒波影響で収穫量が減少し、価格も上昇傾向。
-
仕入れポイント:じゃがいもは、例年夏の終わりに北海道で収穫された貯蔵物が4月頃まで入荷するのが通例ですが、今年は入荷の切り上がりが3月中になる可能性が高いとの情報が入っています。
また、並行して入荷する新じゃがいもも、少雨や寒波の影響で不作。このため、貯蔵物が切れたタイミングで出荷が調整されると、一気に価格が暴騰するリスクがある品目です。
葉物野菜と異なり、じゃがいもは貯蔵性が高いため、出荷側が相場を見ながら価格をコントロールしやすい特性を持っています。特にメークインは注意が必要です。1反あたりの収穫量が少ない上、生産面積も年々縮小しているため、新物切り替え時期には必ず価格が高騰するのが通例です。
にんじん
-
相場見通し:高値維持(前年比114%)
-
状況:千葉産が終盤、次の徳島産も生育遅れで全国的に少量。
-
仕入れポイント:関東近郊の千葉・埼玉産の冬にんじんは、3月中に終了予定。終盤に差し掛かると、表面にぬめりが出たり、すが入ったりと品質が落ちるものの、相対的に価格が安いため、ギリギリまで冬にんじんを取り扱う方針。
一方で、新にんじんは徳島産が圧倒的なシェアを持ち、相場が下がる見込みはほぼゼロ。例年、にんじんの高値ピークは4月10日~GW頃だが、今年は3月中にも価格の暴騰が予想される。この状況を受け、ベジクルでは中国産などの輸入品を代替として提案中。

価格が落ち着く見込みの品目
キャベツ
-
相場見通し:やや下落(前年比97%)※但し、冬系キャベツの相場は下がらない可能性大。
-
状況:愛知産の冬系(寒玉)キャベツが終盤に差しかかり、千葉など関東産の春キャベツが増える見込み。冬系は依然高めだが、春系の出荷本格化で全体の価格は徐々に下がる可能性。
-
仕入れポイント:春キャベツの入荷増により冬系のキャベツの需要分散がなされるが、端境にあたるため業務用需要の強い冬系キャベツは3000円以下になる可能性は低いと見受けられる。輸入キャベツを活用しながらコストを抑制することがおすすめ。
ほうれん草
-
相場見通し:下落傾向(前年比89%)
-
状況:茨城・群馬産が順調に生育し、2月末から出荷増。
-
仕入れポイント:今月は比較的安定した価格が見込めるため、需要に合わせて積極活用を。
トマト
-
相場見通し:下旬に向けて弱含み(前年比98%)
-
状況:熊本・栃木・愛知産がメイン。2月の寒さで小玉傾向だが、3月半ば以降に回復。
-
仕入れポイント:春メニュー向けに増やすなら、価格が落ち着く下旬が狙い目。
レタス
-
相場見通し:やや下落(前年比95%)
-
状況:茨城・静岡・香川産が中心。3月中旬以降は数量増の見込み。
-
仕入れポイント:中旬以降には近郊の茨城産が入荷見込み。これを機に相場が下がる可能性大。
ブロッコリー
-
相場見通し:安定(前年比100%)
-
状況:愛知・徳島・静岡産が中心。出荷量回復で相場は落ち着く見込み。
-
仕入れポイント:3月の気温はブロッコリーの生育適温と合致するので、相場は下がる見通しだが、安い産地のものを使うと黄色い花が咲いてしまうものが散見されるので発泡・氷詰めをしている産地を選定する予定。
アスパラガス
-
相場見通し:供給安定(前年比98%)
-
状況:国産の出荷が増え始め、価格も落ち着く傾向。
-
仕入れポイント:旬を迎えるため輸入品から関東近郊の栃木産へと産地切り替えをする予定。春先のアスパラは柔らかく筋も少ないのでおすすめ。
そら豆・スナップえんどう
-
相場見通し:安定(前年比102%)
-
状況:鹿児島・長崎など早場地帯から順次増量。大きな乱れは少ない見込み。
-
仕入れポイント:豆がぷっくりと膨らんでいる愛知産を導入予定。季節の彩りメニューや副菜で活躍。状況次第で価格も比較的安定。
たけのこ
-
相場見通し:初物高値(前年比120%)
-
状況:九州・四国など、主要産地の出荷が始まる。まだ数量が少なく高値推移。
-
仕入れポイント:国産品が使いやすい単価になるのは3月下旬頃になる見通し。中国産も入荷しているので春限定メニューなどに使う場合は、国産品が取り扱いやすい価格帯になるまでは中国産がおすすめ。
その他の主要野菜
-
きゅうり:冬作が終盤、春作が増加するため3月中旬以降は出荷量アップ。価格は少しずつ落ち着く見通し。
-
ナス:高知・福岡産が中心。3月は数量が安定し始めるが、まだ平年よりやや高め。
-
玉ねぎ:北海道産の在庫が減り、新玉ねぎ(九州・佐賀など)にシフト。ただし数量少なめで価格はやや高水準。
-
ピーマン:茨城・宮崎・高知産が増量し始める。春先には相場が軟化すると予想される。

主要果実の動向と仕入れのポイント
いちご類
-
相場見通し:安定(前年比101%)
-
状況:気温が上がり佐賀産が増え、3月中旬にピークを迎える。L〜2Lサイズ中心で品質は総じて良好に推移。
-
仕入れポイント:需要の高まる時期だが、価格と品質のバランスは良好。最高気温が20度程度を超えてくると日持ちしなくなるので注意。業務用には身が固めの「とちあいか」がおすすめ。苺のレポートは別のブログで紹介しているので苺の仕入れブログをご覧ください。
メロン類
-
相場見通し:やや高めの安定推移(前年比105%)
-
状況:静岡・熊本などハウス栽培のメロンが中心。収量は徐々に回復する見込みだが、全体的に高単価で推移する可能性。
-
仕入れポイント:流通しているものは固めのメロンが多く、すぐに食べられるものは非常に少ない。そのため旬の甘さを求めるなら熟度管理がカギ。食べごろが必要であれば事前にご相談ください。
バナナ
-
相場見通し:安定(前年比100%)
-
状況:フィリピン・エクアドル産ともに順調な入荷。前年並みの価格帯で推移。
-
仕入れポイント:加工用・スムージー用など幅広く使えるので、安定供給を見込んだ計画を。

まとめ
3月はまだ高値の野菜が多いものの、春の出荷が増えてくる品目も多いため、相場が安定or下落し始めるものもあります。たとえばキャベツ(春系)やブロッコリー、アスパラ、いちごなどは、今後価格が落ち着きやすいでしょう。
一方、白菜や長葱、じゃがいも、にんじん、長葱などの冬野菜系は引き続き高値が続く見込みなので、在庫状況を確認しながら計画的に仕入れる必要があります。今年の野菜相場は過去に例を見ない価格で推移しているので波乱が起きる可能性は常にありますので今年に限ってでも輸入野菜をうまく使いながら野菜の仕入れコストを下げる工夫をしてもらいたいと考えています。
「旬の食材をうまく取り入れるとコスト管理とメニューの魅力が両立できる」
最新の市場動向を踏まえて、柔軟に仕入れプランを立ててみてください。高値の品目は使用量を抑えたり、安定供給が見込める代替食材を活用するなど、バランスよく対応していきましょう!
ベジクルでは飲食店や食品加工業の皆さまにとって有益な情報を発信することにこだわりを持って取り組んでおります。
コスト削減や旬の野菜を使ったメニューのバリューアップのご相談はお気軽にどうぞ。